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2024/04/19 11:13 |
Twitter300字SS「人形」
「人造霧航士? 翅翼艇を飛ばすためにわざわざ人形を作るなんてナンセンスだよ。
 人間は確かに他のモノにはない、多くの機能を備えている。でも、ただ一つの機能を求められた場合には、酷く不格好なシロモノだ。
 無駄ばかりだよ、人間なんて。ボクがもし『飛ぶ』ためのカタチになれるなら、この腕を、足を、内臓を、何もかも削ぎ落としても構わないよ?
 だから、ボクは人造霧航士には賛成できない。人形を作るくらいなら、魂魄を宿した翅翼艇を作った方がよっぽどいいと思うけど。それこそ帝国の『戦乙女』みたいにね。
 ああ、でも、下手なカタチに人間の魂魄を繋いじゃうと自我が崩壊しちゃうんだっけ。嫌だな、人間ってなんて不自由なんだろう!」
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Title: トレヴァー・トラヴァースの主張
 
 
 人造霧航士セレスティアは女王国海軍の「備品」だ。
 体の組成は人間と変わりなく、魂魄も同じく。それでもセレスは人ではありえない。よくできた人形。それが軍本部『時計台』による人工霧航士の定義だ。
 別に、セレスはその扱いに異を唱える気はない。与えられた命令を遂行する人形。それでよい、と思っているけれど。
「セレス、行けるな!」
 魂魄に叩き込まれる声。霧を見通す視界は、既に敵機を捉えている。セレスは翅翼艇『エアリエル』に重なる魂魄を意識して、頷く。
「行けます」
「オーケイ。なら、好きに飛べ!」
 好きに、だなんて。いつも相棒の言葉は「命令」には程遠い。セレスはこそばゆさに微かに口の端を歪め、青の翅翼を閃かせる。
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Title: セレスティアの在り方



 
【蛇足】
・『霧世界報告』番外編です。
・人形、というテーマなので「人に造られた人のかたち」である人造霧航士についてのお話を二つ。人造霧航士に否定的な霧航士と、当の人造霧航士本人のお話です。
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2018/03/03 22:03 | 小説断片

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