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2024/04/25 08:22 |
読書記録:『夢守人黒姫』
『夢守人黒姫』
著者:服部匠 さま
サークル:またまたご冗談を!
ジャンル:夢幻想現代ファンタジー

PVが本当にすごい。
必見です。

物語は、悪夢に悩まされる少女綾乃が抱えている苦悩、夢を守る「夢守人」である黒姫と人に悪夢を植え付ける「夢魔」である青子の関係性という二つの軸で展開します。

綾乃の苦悩は、夢というヴィジュアルを伴うことで、それがどれだけ根深く綾乃を苛んでいるのかがひしひしと伝わってきます。
そして綾乃の友人・昌子に向ける感情が本当にリアルでドキドキします。
『超絶変身ユカリオン』の時もそうでしたが、服部さんはとにかく心の動きのリアルさを描くのが上手いなと思います。痛みも、醜い部分も、全てを決して目を逸らすことなく描き出して、けれどその内側にある希望を丁寧にすくいあげるような。
だからこそ、こちらの胸をぎゅっと締め付けて、自分自身の醜い部分をも暴き出すような、けれど決して苦いだけではなく、爽やかさを感じさせる後味の物語になっているのだろうな、と感じます。

そしてもう一つの軸である、夢守人・黒姫と夢魔・青子の間に横たわる因縁。
とにかくこの黒姫と青子の関係性がツボでした。
特に青子の愛が本当に「ねじれた真っ直ぐ」すぎてきゅんきゅんします。
※ねじれた真っ直ぐ→「何か根本的に色々ねじれてるけど、その状態で迷うことなく突き進んでいる様子」を示す。
黒姫が心から青子を憎んでいるからこそ、青子が黒姫に向ける感情が対比として輝く、そんな風にも見えていました。
過去のとある出来事を起因とする黒姫の怒りを全て受け止めながら、それすらも喜びに変えていく青子。
決して理解し合うことのないお互いの心のうちを思うと、なんだかもの悲しくすら感じられます。
この二人の物語はまだ語られない部分も多く、これから続きそうな感じなので(あとがきでもそう書かれておりました)、是非形になればいいなと片隅から祈っております。
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2014/11/25 18:48 | 読書記録

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