「あ、魔法使いさーん」
「な、何だよ」
「魔法使いさんは、魔法使いなんですよね?」
「だから『魔法使い』だって言ってんだろ」
「ただ、さっきクジラさんが『魔術使い』って話をしてたんで気になったんですけど……どこが違うか聞いたら『魔法使いさんに聞きなさい』って」
「えー、それ一般人に話すことじゃねえだろ、それに面倒くs……」
「それと、クジラさんからこれ預かってます。賄賂だそうです」
(玲奈が箱を差し出す。魔法使い、中身を確認、即座に閉じて笑顔になり)
「よっし、この俺様がきっちり説明してやろうじゃねえか!」
「あ、ありがとうございます……(中身、何だったんだろう?)」
>青波世界観『虚構夢想』における魔法使いと魔術使い
「『虚構夢想』ってのは現代~近未来までを舞台にした話な。『楽園』を舞台にした『楽園年代記』とは設定違うからその点ヨロシコ」
「誰に言ってるんですか」
「気にすんな。まず先に魔法ってやつを説明しよう。
魔法っていうのは、簡単に言えば『この世界の力とは全く違う力を操る技』ってことになる。他の世界から力を引き出す技術だな」
「他の世界……ですか」
「例えばクジラさんは妖怪だろ。クジラさんをはじめとした妖怪……『歪神』は元々別世界の住人だ。だからクジラさんは魔法のような力を操ることができんだよ。そして俺の場合はクジラさんのいた世界から『力』だけを引き出すことができる。これが『魔法』だ」
「魔法使いさんには他の世界が見えるんですか?」
「ああ、それが『歪曲視』って力だ。弱い歪曲視は霊感とほぼイコールになるが、俺くらい強くなりゃ、他の世界がどうこの世界に繋がってるのかくらいは見えるようになる」
「ということは、私も微弱ですが歪曲視があるんですね」
「そゆこと。で、『歪曲視』を持ってて他の世界が見えてる奴らが『魔法使い』だったり『魔術使い』だったり、後は一人の歪神と契約して力を行使する『歪神使い』になったりする」
「そういえば、クジラさんも本当は誰かと契約しているって話でしたもんね」
「あれは正式契約じゃねえんだがな。『歪神使い』については『蒼穹に手向けの花を』が詳しいからそっち読んでくれ」
「私達の時代からはかなり遡ってますね……二十年くらい前の話です」
「さて、それじゃあ本題だ。『魔法使い』と『魔術使い』だが、どちらも『魔法』という技術を扱うことには変わりない。歪曲視を持っていて、他の世界とその力を認識できなきゃなれねえのも同じだ。
が、決定的な違いがある。
『魔術使い』ってのは、『魔術』という一定の決まりごとに沿って魔法を使う」
「決まりごと……ですか?」
「『魔術使い』が一番お前がイメージしてる普通の魔法使いに近いかもしれねえな。呪文を唱えて、魔法陣を書いて、儀式を執り行う。それも、必ず決まった手順を踏まなきゃならねえ」
「西洋の魔女のイメージですね」
「あと、陰陽道とかもこの定義じゃ『魔術使い』。あれもかなりきっちりした儀式が伝わってるだろ」
「なるほどー。じゃあ、『魔法使い』には決まった儀式や呪文などはないのですね」
「俺を見てりゃわかんだろ。『魔法使い』ってのは才能とノリで魔法を使う連中だ。決まった手順なんて存在しねえ、自由な魔法を操る」
「……あれ? でも魔法使いさんはナイフで文字書いたり、短い呪文唱えたりしてますよね」
「ああ、アレは俺の中で『魔法を使うぞ』って意識を切り替えるために使う、自分のための儀式だ」
「普段は、魔法を使おうって意識していないから、何かしらのスイッチが必要ってことですね」
「そゆこと。物分かりがよくて助かるぜ。ほとんどの魔法使いは自分だけのスイッチを持つ。俺の場合はナイフであり、自分で勝手に作った『呪文』になる。コイツは魔術使いの厳密な儀式とは全く違う種類のもんだ」
「コンパイル、って言ってましたっけ。あれ、どういう意味ですか?」
「……よく聞いてんな。
コンパイルってのはコンピュータ用語で、大雑把にいや『プログラミング言語で書かれたコードを、コンピュータが理解できるよう変換する』ことだ。俺の場合は『俺の言葉を他の世界に通じるよう変換する』という意味に使ってんだよ」
「な、何だか急にハイテクなイメージになりましたね」
「俺、大学じゃ情報工学専攻だからな。魔法使いはこういう風に、適当な言葉や動作をスイッチとして扱うわけ。スイッチの形は本当に人それぞれだ」
「その、私も魔法使いになれますか?」
「んー、お前じゃちと厳しいと思うぜ。魔法使いって要は才能だから。魔術使いならわからねえけどな。魔術使いは歪曲視さえありゃ修行次第で身につく能力だし」
「そう、なのですか……」
「ま、魔法なんて知らないに越したこたねえよ。この世界じゃ魔法なんて持ってたって役に立たねえんだから」
「あ、それで、その箱の中身って」
「秘密だ」
【まとめ】
・魔術使い
西洋魔術、呪術、陰陽道のように一定の手順、儀式を必要とする魔法を扱う能力者。
歪曲視さえあれば修行次第で扱えるようになる可能性はある。
代表的なのは『イビツ』の小林巽。奴は魔術齧ってるだけだけど。
・魔法使い
魔法を生まれつき体得し、決まった手順を踏まなくとも操れる能力者。
ただし、能力を使うために「自分だけの儀式」を課す者も多い。
代表的なのは『アイシー』の魔法使い。
・歪神使い
歪神(妖怪)と契約し、その歪神の力を行使する能力者。悪魔使いとも。
歪曲視があり、また相性のよい歪神がいれば誰でもなれる可能性はある。
代表的なのは『蒼穹』第二部の橘信彦。歪神『蒼鷹』と契約している。
「な、何だよ」
「魔法使いさんは、魔法使いなんですよね?」
「だから『魔法使い』だって言ってんだろ」
「ただ、さっきクジラさんが『魔術使い』って話をしてたんで気になったんですけど……どこが違うか聞いたら『魔法使いさんに聞きなさい』って」
「えー、それ一般人に話すことじゃねえだろ、それに面倒くs……」
「それと、クジラさんからこれ預かってます。賄賂だそうです」
(玲奈が箱を差し出す。魔法使い、中身を確認、即座に閉じて笑顔になり)
「よっし、この俺様がきっちり説明してやろうじゃねえか!」
「あ、ありがとうございます……(中身、何だったんだろう?)」
>青波世界観『虚構夢想』における魔法使いと魔術使い
「『虚構夢想』ってのは現代~近未来までを舞台にした話な。『楽園』を舞台にした『楽園年代記』とは設定違うからその点ヨロシコ」
「誰に言ってるんですか」
「気にすんな。まず先に魔法ってやつを説明しよう。
魔法っていうのは、簡単に言えば『この世界の力とは全く違う力を操る技』ってことになる。他の世界から力を引き出す技術だな」
「他の世界……ですか」
「例えばクジラさんは妖怪だろ。クジラさんをはじめとした妖怪……『歪神』は元々別世界の住人だ。だからクジラさんは魔法のような力を操ることができんだよ。そして俺の場合はクジラさんのいた世界から『力』だけを引き出すことができる。これが『魔法』だ」
「魔法使いさんには他の世界が見えるんですか?」
「ああ、それが『歪曲視』って力だ。弱い歪曲視は霊感とほぼイコールになるが、俺くらい強くなりゃ、他の世界がどうこの世界に繋がってるのかくらいは見えるようになる」
「ということは、私も微弱ですが歪曲視があるんですね」
「そゆこと。で、『歪曲視』を持ってて他の世界が見えてる奴らが『魔法使い』だったり『魔術使い』だったり、後は一人の歪神と契約して力を行使する『歪神使い』になったりする」
「そういえば、クジラさんも本当は誰かと契約しているって話でしたもんね」
「あれは正式契約じゃねえんだがな。『歪神使い』については『蒼穹に手向けの花を』が詳しいからそっち読んでくれ」
「私達の時代からはかなり遡ってますね……二十年くらい前の話です」
「さて、それじゃあ本題だ。『魔法使い』と『魔術使い』だが、どちらも『魔法』という技術を扱うことには変わりない。歪曲視を持っていて、他の世界とその力を認識できなきゃなれねえのも同じだ。
が、決定的な違いがある。
『魔術使い』ってのは、『魔術』という一定の決まりごとに沿って魔法を使う」
「決まりごと……ですか?」
「『魔術使い』が一番お前がイメージしてる普通の魔法使いに近いかもしれねえな。呪文を唱えて、魔法陣を書いて、儀式を執り行う。それも、必ず決まった手順を踏まなきゃならねえ」
「西洋の魔女のイメージですね」
「あと、陰陽道とかもこの定義じゃ『魔術使い』。あれもかなりきっちりした儀式が伝わってるだろ」
「なるほどー。じゃあ、『魔法使い』には決まった儀式や呪文などはないのですね」
「俺を見てりゃわかんだろ。『魔法使い』ってのは才能とノリで魔法を使う連中だ。決まった手順なんて存在しねえ、自由な魔法を操る」
「……あれ? でも魔法使いさんはナイフで文字書いたり、短い呪文唱えたりしてますよね」
「ああ、アレは俺の中で『魔法を使うぞ』って意識を切り替えるために使う、自分のための儀式だ」
「普段は、魔法を使おうって意識していないから、何かしらのスイッチが必要ってことですね」
「そゆこと。物分かりがよくて助かるぜ。ほとんどの魔法使いは自分だけのスイッチを持つ。俺の場合はナイフであり、自分で勝手に作った『呪文』になる。コイツは魔術使いの厳密な儀式とは全く違う種類のもんだ」
「コンパイル、って言ってましたっけ。あれ、どういう意味ですか?」
「……よく聞いてんな。
コンパイルってのはコンピュータ用語で、大雑把にいや『プログラミング言語で書かれたコードを、コンピュータが理解できるよう変換する』ことだ。俺の場合は『俺の言葉を他の世界に通じるよう変換する』という意味に使ってんだよ」
「な、何だか急にハイテクなイメージになりましたね」
「俺、大学じゃ情報工学専攻だからな。魔法使いはこういう風に、適当な言葉や動作をスイッチとして扱うわけ。スイッチの形は本当に人それぞれだ」
「その、私も魔法使いになれますか?」
「んー、お前じゃちと厳しいと思うぜ。魔法使いって要は才能だから。魔術使いならわからねえけどな。魔術使いは歪曲視さえありゃ修行次第で身につく能力だし」
「そう、なのですか……」
「ま、魔法なんて知らないに越したこたねえよ。この世界じゃ魔法なんて持ってたって役に立たねえんだから」
「あ、それで、その箱の中身って」
「秘密だ」
【まとめ】
・魔術使い
西洋魔術、呪術、陰陽道のように一定の手順、儀式を必要とする魔法を扱う能力者。
歪曲視さえあれば修行次第で扱えるようになる可能性はある。
代表的なのは『イビツ』の小林巽。奴は魔術齧ってるだけだけど。
・魔法使い
魔法を生まれつき体得し、決まった手順を踏まなくとも操れる能力者。
ただし、能力を使うために「自分だけの儀式」を課す者も多い。
代表的なのは『アイシー』の魔法使い。
・歪神使い
歪神(妖怪)と契約し、その歪神の力を行使する能力者。悪魔使いとも。
歪曲視があり、また相性のよい歪神がいれば誰でもなれる可能性はある。
代表的なのは『蒼穹』第二部の橘信彦。歪神『蒼鷹』と契約している。
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