『楽園の子供達 ~chapter phoenix~』
『楽園の子供達 ~chapter siren~』
著者:志水了 さま
サークル:秋水
ジャンル:ゴシックロマン・ファンタジー
超文フリの戦利品読書週間と思ったらそんなことはなかったぜ。
読みたいものを読みたいときに読む、それが青波零也というナマモノであります。
というわけで、以前から表紙のお洒落さが気になっていて、
この前のコミティアでついに入手してしまった『楽園の子供達』シリーズを読破いたしました。
ジャンルはひとまずあとがきに従ってみました。
とにかく表紙の雰囲気が大好きです……ああいう二色刷りはロマンですね。
(chapter sirenは箔押しなのですが、この箔押しの使い方もまたとてもお洒落)
あと紙の手触りが……とてもよいです……。
作者さんのブログ見てみたら装丁にかなりのこだわりのあるお方のようなので納得。
装丁大事です。本当に。
内容としては、「ある事件により閉鎖、隔離されてしまった魔法学園。そこに取り残されてしまった生徒たちのサバイバル生活」、といったところでしょうか。
その原因となった事件のきっかけがあやふやであったり、生徒によって持っている情報が違ったりと、謎と疑念の種があちこちにばら撒かれていて、閉鎖空間スキーな私にとっては、とても美味しいお話でした。
それと、地水火風の四属性を基本とした生徒たちの魔法の描写、また魔法の「組み立て方」、魔法同士の相性など、古参ゲーマーとしてはにやっとします。また、それらの本来「馴染みない」情報を、物語を通して当たり前のものとしてすんなり飲み込ませてくれる腕前は、ファンタジィ書きとして見習わせていただきたいものです。
これらの前提があってこそ、chapter sirenの方で提示される「重要なこと」が、本当に一つの重要な情報として頭の中に飛び込んでくるわけなのですが。フレデリック……。
そんなわけで、以下はchapterごとの感想です。
【chapter phoenix】
火のグループの「三番手」アレンを中心とした第I話、
そして火のグループリーダー、シエラの視点による第II話の二本立て。
前者は学園内に存在する魔物とのバトル描写が中心。
このバトル描写が
その中で、時折織り交ぜられる「過去」から、アレンの抱いているものが見え隠れするわけですが……何か、フェニックスの人たちは(シエラの話も通して読んだ感想として)、表面的にはともかく、胸の内側に確かな熱いものを秘めた連中、という印象です。
力強くて、だからこそ、命短いような。やはり炎というのはそういうものなのでしょうかね……。
そして、すごく個人的な感想として、ノイスターがかわいいです。とても。
先輩たち二人と、強大な敵を前にして、折れるどころか奮起する一生懸命な女の子、っていいですよね……いいですよね……!
あと風魔法使いが好き、っていうあまりにも個人的な趣味嗜好もあります。
【chapter siren】
こちらは水のグループのお話。
研究者気質の少女ジェイミーの視点を中心とした「表」、
そしてchapter phoenixにも登場したカインの視点を中心とした「裏」の二本立て。
これがまたぞくっとするくらい、上手い作りになっております。表裏一体、という言葉が相応しいというか。
表で出てきた要素や彼女が目にしてきた出来事が、裏で発生した一つの事件を通して、最後の二ページに収束していく過程に唸らされました。
美しいもの。輝いて見えるもの。カインにとってのジェイミー。それを「守ろう」とするカインの決断。
「僕達のグループは狂っている。それは僕達皆が知っている事実だろう?」……そう言い放つ、水のグループリーダー、フレデリックの底の見えない雰囲気、息継ぎも許されない気配が、この物語全体を包み込んでいる気がしました。
とりとめのない感想ではありますが、とても面白く拝読させていただきました。
この学園に生きる、他の生徒たちの物語も是非目にしてみたいと思いました。
そして、学園に起こった出来事の真実と、彼らの行く末も。
そんなことを思いながら、こっそり追いかけていこうと思っております。
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『楽園の子供達 ~chapter siren~』
著者:志水了 さま
サークル:秋水
ジャンル:ゴシックロマン・ファンタジー
超文フリの戦利品読書週間と思ったらそんなことはなかったぜ。
読みたいものを読みたいときに読む、それが青波零也というナマモノであります。
というわけで、以前から表紙のお洒落さが気になっていて、
この前のコミティアでついに入手してしまった『楽園の子供達』シリーズを読破いたしました。
ジャンルはひとまずあとがきに従ってみました。
とにかく表紙の雰囲気が大好きです……ああいう二色刷りはロマンですね。
(chapter sirenは箔押しなのですが、この箔押しの使い方もまたとてもお洒落)
あと紙の手触りが……とてもよいです……。
作者さんのブログ見てみたら装丁にかなりのこだわりのあるお方のようなので納得。
装丁大事です。本当に。
内容としては、「ある事件により閉鎖、隔離されてしまった魔法学園。そこに取り残されてしまった生徒たちのサバイバル生活」、といったところでしょうか。
その原因となった事件のきっかけがあやふやであったり、生徒によって持っている情報が違ったりと、謎と疑念の種があちこちにばら撒かれていて、閉鎖空間スキーな私にとっては、とても美味しいお話でした。
それと、地水火風の四属性を基本とした生徒たちの魔法の描写、また魔法の「組み立て方」、魔法同士の相性など、古参ゲーマーとしてはにやっとします。また、それらの本来「馴染みない」情報を、物語を通して当たり前のものとしてすんなり飲み込ませてくれる腕前は、ファンタジィ書きとして見習わせていただきたいものです。
これらの前提があってこそ、chapter sirenの方で提示される「重要なこと」が、本当に一つの重要な情報として頭の中に飛び込んでくるわけなのですが。フレデリック……。
そんなわけで、以下はchapterごとの感想です。
【chapter phoenix】
火のグループの「三番手」アレンを中心とした第I話、
そして火のグループリーダー、シエラの視点による第II話の二本立て。
前者は学園内に存在する魔物とのバトル描写が中心。
このバトル描写が
その中で、時折織り交ぜられる「過去」から、アレンの抱いているものが見え隠れするわけですが……何か、フェニックスの人たちは(シエラの話も通して読んだ感想として)、表面的にはともかく、胸の内側に確かな熱いものを秘めた連中、という印象です。
力強くて、だからこそ、命短いような。やはり炎というのはそういうものなのでしょうかね……。
そして、すごく個人的な感想として、ノイスターがかわいいです。とても。
先輩たち二人と、強大な敵を前にして、折れるどころか奮起する一生懸命な女の子、っていいですよね……いいですよね……!
あと風魔法使いが好き、っていうあまりにも個人的な趣味嗜好もあります。
【chapter siren】
こちらは水のグループのお話。
研究者気質の少女ジェイミーの視点を中心とした「表」、
そしてchapter phoenixにも登場したカインの視点を中心とした「裏」の二本立て。
これがまたぞくっとするくらい、上手い作りになっております。表裏一体、という言葉が相応しいというか。
表で出てきた要素や彼女が目にしてきた出来事が、裏で発生した一つの事件を通して、最後の二ページに収束していく過程に唸らされました。
美しいもの。輝いて見えるもの。カインにとってのジェイミー。それを「守ろう」とするカインの決断。
「僕達のグループは狂っている。それは僕達皆が知っている事実だろう?」……そう言い放つ、水のグループリーダー、フレデリックの底の見えない雰囲気、息継ぎも許されない気配が、この物語全体を包み込んでいる気がしました。
とりとめのない感想ではありますが、とても面白く拝読させていただきました。
この学園に生きる、他の生徒たちの物語も是非目にしてみたいと思いました。
そして、学園に起こった出来事の真実と、彼らの行く末も。
そんなことを思いながら、こっそり追いかけていこうと思っております。