■アザラシといつもの秘策
待盾署刑事課神秘対策係の主な仕事は、暇を持て余すことである。
だが、いくら暇といえど、決して消化すべき仕事はゼロではない。デスクで一向に減らない書類――それは、自分の書類だけでなく、抱え込んでいた南雲のものも任されているからだが――を片付けるのにも飽いた八束は、全く仕事をしようとしない南雲に文句の一つでも言ってやろうと、彼の特等席である来客用のソファをのぞき込む。
「何ごろごろしてるんです、南雲さん……、な、南雲さん!?」
「どうしたの、八束」
「南雲さんが、アザラシのぬいぐるみになってるー!」
「そうだね」
そう、普段南雲が寝ているはずのソファには、巨大な白いアザラシが鎮座ましましていたのである。ついでに、そのアザラシは南雲のスーツの上着を羽織っている。八束は、慌ててアザラシを抱え上げると、くたーんと頭を垂らすアザラシに向かって、「ああ」と嘆きの声を上げる。
「怠惰を極めるあまり、本当にアザラシになってしまうなんて……」
「それで、今背後に立ってる俺のことは何だと思ってんの?」
八束は、はっとして後ろを振り向く。そこに立っているのは、いつも通りに猫背で不機嫌そうな面構えの南雲だった。
「あれ、南雲さん、上着……」
「暑かったから脱いだの。っていうか、本気で俺がアザラシになったとでも思ったの?」
「南雲さんなら、それでもおかしくないかなと思いました」
八束は、どこまでも真面目だった。
南雲は仏頂面ながらも呆れのため息をつき、八束の手からアザラシの巨大ぬいぐるみを上着と一緒に引き抜く。八束は名残惜しそうにアザラシを目で追いながら、一番の疑問を投げかける。
「……その巨大アザラシぬいぐるみ、どうしたんですか?」
「作った」
「本当に何でも作りますね、南雲さん!?」
南雲の手先が器用なのは知っていたが、ほとんど八束の身長と同じサイズのぬいぐるみを実際に作ってしまうとは思いもしなかった。八束は作っているところを目撃していないから、多分、早朝か八束が帰った後にこつこつ作っていたに違いない。
南雲は八束の反応に満足したのか、神妙な顔でこくりと頷くと、上着を纏ったアザラシを抱いたまま、ソファにごろりと横になる。
「抱き枕がほしかったんだよ」
そして、そのままアザラシの頭に顔を埋め、寝の姿勢に入る。ぼんやりとその様子を見つめていた八束は、次の瞬間我に返り、南雲の肩を強く引く。
「明らかにソファで寝る気満々じゃないですか! 仕事してください!」
「八束はできる子なんだから、俺の分もちゃちゃっとできるでしょー」
「南雲さんだってやればできる人なんですから、二人でやればもっと短時間で済みます!」
「正論は聞きたくなーい」
ごろんとソファの背側に倒れようとする南雲を、何とか引き戻そうと努力する八束。しかし、力はともかく体格では圧倒的に勝る南雲である。ソファとぬいぐるみにしがみつき、離れようとしない。
「もうっ、そもそも勤務時間中に寝るってこと自体おかしいんですよっ! ちょっと、綿貫さんも、にやにやしてないで、手伝ってください!」
八束の訴えに、しかし奥のデスクに座る係長・綿貫は、紅茶のカップを傾け、目を細めてこうつぶやくだけだった。
「……今日も、平和ですねえ」
待盾署刑事課神秘対策係の主な仕事は、暇を持て余すことである。
だが、いくら暇といえど、決して消化すべき仕事はゼロではない。デスクで一向に減らない書類――それは、自分の書類だけでなく、抱え込んでいた南雲のものも任されているからだが――を片付けるのにも飽いた八束は、全く仕事をしようとしない南雲に文句の一つでも言ってやろうと、彼の特等席である来客用のソファをのぞき込む。
「何ごろごろしてるんです、南雲さん……、な、南雲さん!?」
「どうしたの、八束」
「南雲さんが、アザラシのぬいぐるみになってるー!」
「そうだね」
そう、普段南雲が寝ているはずのソファには、巨大な白いアザラシが鎮座ましましていたのである。ついでに、そのアザラシは南雲のスーツの上着を羽織っている。八束は、慌ててアザラシを抱え上げると、くたーんと頭を垂らすアザラシに向かって、「ああ」と嘆きの声を上げる。
「怠惰を極めるあまり、本当にアザラシになってしまうなんて……」
「それで、今背後に立ってる俺のことは何だと思ってんの?」
八束は、はっとして後ろを振り向く。そこに立っているのは、いつも通りに猫背で不機嫌そうな面構えの南雲だった。
「あれ、南雲さん、上着……」
「暑かったから脱いだの。っていうか、本気で俺がアザラシになったとでも思ったの?」
「南雲さんなら、それでもおかしくないかなと思いました」
八束は、どこまでも真面目だった。
南雲は仏頂面ながらも呆れのため息をつき、八束の手からアザラシの巨大ぬいぐるみを上着と一緒に引き抜く。八束は名残惜しそうにアザラシを目で追いながら、一番の疑問を投げかける。
「……その巨大アザラシぬいぐるみ、どうしたんですか?」
「作った」
「本当に何でも作りますね、南雲さん!?」
南雲の手先が器用なのは知っていたが、ほとんど八束の身長と同じサイズのぬいぐるみを実際に作ってしまうとは思いもしなかった。八束は作っているところを目撃していないから、多分、早朝か八束が帰った後にこつこつ作っていたに違いない。
南雲は八束の反応に満足したのか、神妙な顔でこくりと頷くと、上着を纏ったアザラシを抱いたまま、ソファにごろりと横になる。
「抱き枕がほしかったんだよ」
そして、そのままアザラシの頭に顔を埋め、寝の姿勢に入る。ぼんやりとその様子を見つめていた八束は、次の瞬間我に返り、南雲の肩を強く引く。
「明らかにソファで寝る気満々じゃないですか! 仕事してください!」
「八束はできる子なんだから、俺の分もちゃちゃっとできるでしょー」
「南雲さんだってやればできる人なんですから、二人でやればもっと短時間で済みます!」
「正論は聞きたくなーい」
ごろんとソファの背側に倒れようとする南雲を、何とか引き戻そうと努力する八束。しかし、力はともかく体格では圧倒的に勝る南雲である。ソファとぬいぐるみにしがみつき、離れようとしない。
「もうっ、そもそも勤務時間中に寝るってこと自体おかしいんですよっ! ちょっと、綿貫さんも、にやにやしてないで、手伝ってください!」
八束の訴えに、しかし奥のデスクに座る係長・綿貫は、紅茶のカップを傾け、目を細めてこうつぶやくだけだった。
「……今日も、平和ですねえ」
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やっとサイトの改装始めました!!!
「CSSって……何だ……?」
とかほざいていた青波が、やっと夢織さんを介してCSSを学ぶ気になりました。
ごめん夢織さん正直君のこと5%も使いこなせてなかった。
そして一度基本を理解すれば、今までなんであんなに苦労してたんだろうと真顔になります。
まずは、コンテンツ部分と、物語の中でも現在更新中のあたりを順次整理しております。
古い話に関しては多分着手は先延ばしになると思います。
(特に未来空想記はどうしていいものか頭を抱えております)
とはいえ、なるべく統一感持たせたいので、早めに着手できると嬉しいですね。
空色がかなり重労働な予感で今からげっそりしております。
リンク切れ等、挙動が怪しいところがありましたら耳打ちいただけると助かります。
「CSSって……何だ……?」
とかほざいていた青波が、やっと夢織さんを介してCSSを学ぶ気になりました。
ごめん夢織さん正直君のこと5%も使いこなせてなかった。
そして一度基本を理解すれば、今までなんであんなに苦労してたんだろうと真顔になります。
まずは、コンテンツ部分と、物語の中でも現在更新中のあたりを順次整理しております。
古い話に関しては多分着手は先延ばしになると思います。
(特に未来空想記はどうしていいものか頭を抱えております)
とはいえ、なるべく統一感持たせたいので、早めに着手できると嬉しいですね。
空色がかなり重労働な予感で今からげっそりしております。
リンク切れ等、挙動が怪しいところがありましたら耳打ちいただけると助かります。
なんでか頭ん中から八束と南雲が離れないので、
今のところずっと現代もののターンです。
あの二人がいちゃいちゃしているところを考えるのは楽しいです。
いちゃいちゃとはちょっと違う気もしている。
しかしこの二人の話を書くためには、
ミステリらしい事件を考えなければならないわけで。
ミステリの文脈をほとんど理解していない私には辛いです……。
読むのは好きなのですが、書くのは本当に難しいですね。
しかも今回は超常現象禁止令出てますからね(コンセプト的に)。
待盾署神秘対策係は、「超常現象に見せかけた事件」を専門とした係ですゆえ。
あと、警察組織についてちゃんと調べましょうね……。知識足らなさすぎます。
そもそも青波は警察ものを徹底的に避けてきた過去がありますので、
ちょっと今になって後悔しております。
この前初めて『相棒』を見たくらいですからね。あれはよいものでした。
というわけで、八束と南雲の話はなかなか表に出ない気はします。
ぐだぐだ話しているのを考えるのは楽しいんですけどね。
あとタイトル早く決めなければですね。
元々「真実は蓋を開けてみないと云々」って意味と、
猫が出てくる予定だったので『ネコバコ』だったのですが、
色々話の内容が変わって、本来メインじゃなかったはずの南雲が出張った結果
なんかタイトル合ってない気がしてきました。困った。
なるべくシンプルめなタイトルにしたいなーとは思ってるんですが。
甘味同様「副題が先に決まってる」パターンですね……。
(本作の副題は"Near the Wonderland"といいます)
そんな風にぐだぐだ考えている日々です。楽しい。
今のところずっと現代もののターンです。
あの二人がいちゃいちゃしているところを考えるのは楽しいです。
いちゃいちゃとはちょっと違う気もしている。
しかしこの二人の話を書くためには、
ミステリらしい事件を考えなければならないわけで。
ミステリの文脈をほとんど理解していない私には辛いです……。
読むのは好きなのですが、書くのは本当に難しいですね。
しかも今回は超常現象禁止令出てますからね(コンセプト的に)。
待盾署神秘対策係は、「超常現象に見せかけた事件」を専門とした係ですゆえ。
あと、警察組織についてちゃんと調べましょうね……。知識足らなさすぎます。
そもそも青波は警察ものを徹底的に避けてきた過去がありますので、
ちょっと今になって後悔しております。
この前初めて『相棒』を見たくらいですからね。あれはよいものでした。
というわけで、八束と南雲の話はなかなか表に出ない気はします。
ぐだぐだ話しているのを考えるのは楽しいんですけどね。
あとタイトル早く決めなければですね。
元々「真実は蓋を開けてみないと云々」って意味と、
猫が出てくる予定だったので『ネコバコ』だったのですが、
色々話の内容が変わって、本来メインじゃなかったはずの南雲が出張った結果
なんかタイトル合ってない気がしてきました。困った。
なるべくシンプルめなタイトルにしたいなーとは思ってるんですが。
甘味同様「副題が先に決まってる」パターンですね……。
(本作の副題は"Near the Wonderland"といいます)
そんな風にぐだぐだ考えている日々です。楽しい。
COMITIA108無事終了いたしました、
シアワセモノマニアのスペースに足を運んでくださった皆様に感謝を。
今回、シアワセモノマニアは夏浦詩歌さんとの二人体制でお送りいたしました。
前回以上にハードな配布スケジュールに付き合っていただいた夏浦さんに心からの感謝を。
今回は「藍色のモノローグ」さんとともに
出口真ん前誕生日席という極めて恐ろしい配置に。
売るのはともかく配布するのは難しいんですよねあの配置……。
しかし「ヒロイン★ふぇすた」参加サークルとして、
藍間さんと協力体制を取り、ペーパー、無配、そしてスタンプラリー台紙配布に専念いたしました。
正直それで精一杯だった気もします。あまりお役に立てず申し訳ない。
結果として配布200は捌けなかったのですが、
それでも、ある程度の配布数は確保できたと思います。
次回はもうちょっと頑張りたいところです。
今回の売り上げに関しては、P&R効果もあってか
今までで最高の売り上げだったと思います。
元々今回のみの頒布予定であった『アイレクスの絵空事』は見本含め手持ち分完売、
(こちらは後ほど通販で少部数取扱いする予定です)
そしてついに『音律歴程』が通販分除き完売しました。
ただ、こちら微妙に足りてない気がするので、どっかに埋もれてないか、あとで探します(笑)。
再販は予定しておりません。
もう少ししたらサイトに本文UPしていく予定です。
手に取ってくださった皆様に、少しでも楽しんでいただけたら嬉しいなと思っております。
今回はあまり他のサークル回れなくてすみません……。
というかシアワセモノマニアはペーパー配りに専念しすぎな気がします。
今回も結局10分くらい小説サークル様を巡っただけでした。うう。
もう少し自分自身に余裕を持ちたいところです。
次回のイベント参加は8月31日のCOMITIA109を予定しております。
新刊は、『蒼穹に手向けの花を』後編(BLUE)と『夏の青亭』を収録した、
真夏の御伽話『ナツガタリ』になります。
計画が進み次第続報を出したいと思います! 表紙が今から楽しみです。
私も頑張って改稿しなければ……。特に蒼穹は相当古いので……。
それでは、今回は本当にありがとうございました!
シアワセモノマニアのスペースに足を運んでくださった皆様に感謝を。
今回、シアワセモノマニアは夏浦詩歌さんとの二人体制でお送りいたしました。
前回以上にハードな配布スケジュールに付き合っていただいた夏浦さんに心からの感謝を。
今回は「藍色のモノローグ」さんとともに
出口真ん前誕生日席という極めて恐ろしい配置に。
売るのはともかく配布するのは難しいんですよねあの配置……。
しかし「ヒロイン★ふぇすた」参加サークルとして、
藍間さんと協力体制を取り、ペーパー、無配、そしてスタンプラリー台紙配布に専念いたしました。
正直それで精一杯だった気もします。あまりお役に立てず申し訳ない。
結果として配布200は捌けなかったのですが、
それでも、ある程度の配布数は確保できたと思います。
次回はもうちょっと頑張りたいところです。
今回の売り上げに関しては、P&R効果もあってか
今までで最高の売り上げだったと思います。
元々今回のみの頒布予定であった『アイレクスの絵空事』は見本含め手持ち分完売、
(こちらは後ほど通販で少部数取扱いする予定です)
そしてついに『音律歴程』が通販分除き完売しました。
ただ、こちら微妙に足りてない気がするので、どっかに埋もれてないか、あとで探します(笑)。
再販は予定しておりません。
もう少ししたらサイトに本文UPしていく予定です。
手に取ってくださった皆様に、少しでも楽しんでいただけたら嬉しいなと思っております。
今回はあまり他のサークル回れなくてすみません……。
というかシアワセモノマニアはペーパー配りに専念しすぎな気がします。
今回も結局10分くらい小説サークル様を巡っただけでした。うう。
もう少し自分自身に余裕を持ちたいところです。
次回のイベント参加は8月31日のCOMITIA109を予定しております。
新刊は、『蒼穹に手向けの花を』後編(BLUE)と『夏の青亭』を収録した、
真夏の御伽話『ナツガタリ』になります。
計画が進み次第続報を出したいと思います! 表紙が今から楽しみです。
私も頑張って改稿しなければ……。特に蒼穹は相当古いので……。
それでは、今回は本当にありがとうございました!
青波です。低速気味ですがそれなりに元気です。
COMITIA108、シアワセモノマニアは【P31b】で出陣します!
お隣【P31a】は藍間真珠さんの『藍色のモノローグ』です。
入口すぐそばという恐ろしい立地。頑張ってペーパー配ります。
今回は「ヒロイン★ふぇすた」という企画に出ております!
豪華(?)景品つきスタンプラリーやっておりますので、
是非スタンプだけでも押していってやってください。
企画サイトも面白いことになっているので、是非見てみてください。
さて、今回の新刊は『アイレクスの絵空事』です。
最近ちょっと執筆するだけの精神的余裕がなかったため、
本編序盤・短編・掌編を七編再録したものとなっております。
こちら文庫サイズで300円!
今まで綴られてきたホリィと鈴蘭の旅を楽しみたい方向けの一冊です。
あと夏浦さん入魂の表紙絵、中表紙は必見でございます。
また、実は『音律歴程』が今回のティアズマガジンの
プッシュ&レビューに掲載されております! とても嬉しいです。
意外と手元の冊数が少なかったので、お求めの方はお早めにお願いいたします。
そのほか、既刊各種取り揃えております。
ちょっと駆け足になりましたが、
今回もシアワセモノマニアをよろしくお願いいたします。
COMITIA108、シアワセモノマニアは【P31b】で出陣します!
お隣【P31a】は藍間真珠さんの『藍色のモノローグ』です。
入口すぐそばという恐ろしい立地。頑張ってペーパー配ります。
今回は「ヒロイン★ふぇすた」という企画に出ております!
豪華(?)景品つきスタンプラリーやっておりますので、
是非スタンプだけでも押していってやってください。
企画サイトも面白いことになっているので、是非見てみてください。
さて、今回の新刊は『アイレクスの絵空事』です。
最近ちょっと執筆するだけの精神的余裕がなかったため、
本編序盤・短編・掌編を七編再録したものとなっております。
こちら文庫サイズで300円!
今まで綴られてきたホリィと鈴蘭の旅を楽しみたい方向けの一冊です。
あと夏浦さん入魂の表紙絵、中表紙は必見でございます。
また、実は『音律歴程』が今回のティアズマガジンの
プッシュ&レビューに掲載されております! とても嬉しいです。
意外と手元の冊数が少なかったので、お求めの方はお早めにお願いいたします。
そのほか、既刊各種取り揃えております。
ちょっと駆け足になりましたが、
今回もシアワセモノマニアをよろしくお願いいたします。