基本的に青波は話を思いついたときは
メモをこうやって書くという話。
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冷たい世界と、未来から目を背けたくて。
瞼を閉じた闇の向こうから、青い光が射す。
手を伸ばす。その手を、そっと、握る気配。
気づけば、知らない場所と知らない誰か。
そして、透明な「函」。
「初めまして、アドミニストレータ」
「ようこそ、たゆたう記憶の集積空間、レザヴォアへ」
「あなたが、新たなアドミニストレータに選ばれました」
「わたしは、格納された情報を整理、検索し、あなたの円滑な情報閲覧を手助けするインターフェイスです」
「アドミニストレータのお名前を聞かせていただけませんか」
「わたしの名前? 名前は特にありません。ライブラリアン、と呼んでいただければと思います」
「え、えっと、今の言葉に直すと、『司書』になるのでしょうか」
「困ったことがあったら、聞いてください。よろしく、お願いします」
「おっ、知らない奴がいる」
「こ、こんにちは、ゴーストさん」
「よう、もしかして、こいつが新しい管理者?」
「はい」
「ああ、俺か? 俺様は、この司書の嬢ちゃんと一緒にここに住み着いてる。ゴーストとでも呼んでくれ。幽霊、って意味だ」
「最初は、何が何だかわからねえと思うが、ま、あちこち眺めてりゃ、きっとわかるさ」
「どうせ、時間は腐るほど有り余ってんだろ」
「ま、これから、せいぜいよろしく頼むぜ」
どこにもない空間「レザヴォア」。
現実よりも、ずっとゆるやかに流れる時間。
そこで暮らす白衣の司書、中空に浮かぶ目玉「ゴースト」。
不可解な言葉を拾い上げ、函の中へ投げ込んで。
少しずつ、少しずつ、深い記憶の海へと潜っていく。
「ははっ、くそったれな世界だよ、全く」/うつりゆく空の函
「私は」「俺は」『誰だ?』/錆びた鋼の函
「君を守りたいと、思ったんだ」/刃の色の函
「全部、壊れてしまえばいいのに」/薔薇色の函
「畜生、畜生……! こんなところで、俺は!」/どこまでも青い函
「俺は、幸せだった」/凍り付いた碧の函
「懐かしい、響きがします」
「わたし、『不思議の国のアリス』の結末を、知らないんです」
「教えてくれた人は、もう、どこにもいないから」
「なあ、お前にしかできないんだ」
「俺は、もう、この『システム』の一部になっちまったから」
「頼む」
「あいつの『記憶』を、見つけ出してくれ」
メモをこうやって書くという話。
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冷たい世界と、未来から目を背けたくて。
瞼を閉じた闇の向こうから、青い光が射す。
手を伸ばす。その手を、そっと、握る気配。
気づけば、知らない場所と知らない誰か。
そして、透明な「函」。
「初めまして、アドミニストレータ」
「ようこそ、たゆたう記憶の集積空間、レザヴォアへ」
「あなたが、新たなアドミニストレータに選ばれました」
「わたしは、格納された情報を整理、検索し、あなたの円滑な情報閲覧を手助けするインターフェイスです」
「アドミニストレータのお名前を聞かせていただけませんか」
「わたしの名前? 名前は特にありません。ライブラリアン、と呼んでいただければと思います」
「え、えっと、今の言葉に直すと、『司書』になるのでしょうか」
「困ったことがあったら、聞いてください。よろしく、お願いします」
「おっ、知らない奴がいる」
「こ、こんにちは、ゴーストさん」
「よう、もしかして、こいつが新しい管理者?」
「はい」
「ああ、俺か? 俺様は、この司書の嬢ちゃんと一緒にここに住み着いてる。ゴーストとでも呼んでくれ。幽霊、って意味だ」
「最初は、何が何だかわからねえと思うが、ま、あちこち眺めてりゃ、きっとわかるさ」
「どうせ、時間は腐るほど有り余ってんだろ」
「ま、これから、せいぜいよろしく頼むぜ」
どこにもない空間「レザヴォア」。
現実よりも、ずっとゆるやかに流れる時間。
そこで暮らす白衣の司書、中空に浮かぶ目玉「ゴースト」。
不可解な言葉を拾い上げ、函の中へ投げ込んで。
少しずつ、少しずつ、深い記憶の海へと潜っていく。
「ははっ、くそったれな世界だよ、全く」/うつりゆく空の函
「私は」「俺は」『誰だ?』/錆びた鋼の函
「君を守りたいと、思ったんだ」/刃の色の函
「全部、壊れてしまえばいいのに」/薔薇色の函
「畜生、畜生……! こんなところで、俺は!」/どこまでも青い函
「俺は、幸せだった」/凍り付いた碧の函
「懐かしい、響きがします」
「わたし、『不思議の国のアリス』の結末を、知らないんです」
「教えてくれた人は、もう、どこにもいないから」
「なあ、お前にしかできないんだ」
「俺は、もう、この『システム』の一部になっちまったから」
「頼む」
「あいつの『記憶』を、見つけ出してくれ」
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