「誕生日おめでとう、レイ!」
P3S本部は、祝祭のムードに包まれていた。
その中心にいるのは我らが第五班のトラブルメーカー、レイ・セプター。
今日はレイの十九歳の誕生日であり、祭好きというか騒ぐのが大好きなP3Sの面々は仕事そっちのけで誕生日パーティなんて開いていた。
「ありがとう、皆!」
レイは子供のようににこにこと笑いながら、皆のプレゼントを受け取ったり豪華な食事に舌鼓を打ったりしていた。周りのP3S構成員たちも、レイに祝いの言葉を投げかける反面、てんで好き勝手に騒いでいる。酒が回ってきたのか、色々とテンションが怪しくなりはじめた頃。
第四班班長アイル・エアレイドは、部屋の片隅でどんよりとしたオーラを漂わせている第五班班長、クレセント・クライウルフの存在に気づいた。
「……どうした、クレセント」
アイルは気づく。クレセントは泣いていた。あの最凶最悪のクライウルフ班(と言っても二人構成なのでコンビなのだが)を率いる魔法士クレセント・クライウルフが、である。
驚くアイルに「すまない、場を弁えずに」と小さな声で謝るクレセントだったが、アイルは「構わない」と首を振り、問う。
「一体、何があった」
「エアレイド……私は、私は……」
クレセントは目頭を押さえたまま、湿った声で告げた。
「また、セプターに掛け算九九を教えきれないまま、一年を過ごしてしまったのだ……!」
今にもその場で声を上げて泣き崩れんばかりのクレセントを、そりゃあもう生ぬるい表情で見上げるアイル。ただ、馬鹿馬鹿しい話ではあるが、クレセントがいたって本気なのはアイルにもしっかり伝わってしまった。
「泣くな、クレス……今日は飲むか」
「ああ、すまない、エアレイド……くそっ、私が不甲斐ないばかりに……」
「いや、お前は何も悪くないから。そういちいち落ち込むな」
アイルは、肩を落とすクレセントを励ましながら、そっとP3S本部を後にした。
そして来年の六月九日も全く同じ光景が繰り広げられるのだが、それはまた別のお話。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
レイ誕のくせにクレスの話だってのは内緒である。
アイル(アイリット・エアレイド)は「死の第四班」の班長。
実は第五班よりヤバイ面々の集まりだったりするのだが、そいつらを取り仕切る苦労人。
こっそり手ブロに描いてあるジェイドさんは第四班の面子ですが。
とにかくアイルは皆の保護者的な人。まだ若いクレスとレイに対してもお兄さんというかお父さんというかそんな感じで接しているっぽい。
P3S本部は、祝祭のムードに包まれていた。
その中心にいるのは我らが第五班のトラブルメーカー、レイ・セプター。
今日はレイの十九歳の誕生日であり、祭好きというか騒ぐのが大好きなP3Sの面々は仕事そっちのけで誕生日パーティなんて開いていた。
「ありがとう、皆!」
レイは子供のようににこにこと笑いながら、皆のプレゼントを受け取ったり豪華な食事に舌鼓を打ったりしていた。周りのP3S構成員たちも、レイに祝いの言葉を投げかける反面、てんで好き勝手に騒いでいる。酒が回ってきたのか、色々とテンションが怪しくなりはじめた頃。
第四班班長アイル・エアレイドは、部屋の片隅でどんよりとしたオーラを漂わせている第五班班長、クレセント・クライウルフの存在に気づいた。
「……どうした、クレセント」
アイルは気づく。クレセントは泣いていた。あの最凶最悪のクライウルフ班(と言っても二人構成なのでコンビなのだが)を率いる魔法士クレセント・クライウルフが、である。
驚くアイルに「すまない、場を弁えずに」と小さな声で謝るクレセントだったが、アイルは「構わない」と首を振り、問う。
「一体、何があった」
「エアレイド……私は、私は……」
クレセントは目頭を押さえたまま、湿った声で告げた。
「また、セプターに掛け算九九を教えきれないまま、一年を過ごしてしまったのだ……!」
今にもその場で声を上げて泣き崩れんばかりのクレセントを、そりゃあもう生ぬるい表情で見上げるアイル。ただ、馬鹿馬鹿しい話ではあるが、クレセントがいたって本気なのはアイルにもしっかり伝わってしまった。
「泣くな、クレス……今日は飲むか」
「ああ、すまない、エアレイド……くそっ、私が不甲斐ないばかりに……」
「いや、お前は何も悪くないから。そういちいち落ち込むな」
アイルは、肩を落とすクレセントを励ましながら、そっとP3S本部を後にした。
そして来年の六月九日も全く同じ光景が繰り広げられるのだが、それはまた別のお話。
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レイ誕のくせにクレスの話だってのは内緒である。
アイル(アイリット・エアレイド)は「死の第四班」の班長。
実は第五班よりヤバイ面々の集まりだったりするのだが、そいつらを取り仕切る苦労人。
こっそり手ブロに描いてあるジェイドさんは第四班の面子ですが。
とにかくアイルは皆の保護者的な人。まだ若いクレスとレイに対してもお兄さんというかお父さんというかそんな感じで接しているっぽい。
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