今日も秘策――待盾署刑事課神秘対策係は暇である。
そんなわけで盗犯係の事務作業を手伝う八束だったが、どうしても目の前に座る相棒、南雲が気になって仕方ない。
見事なスキンヘッドに凶悪な目つき。警察官よりその筋の人を思わせる面構えの南雲は、普段から消えない眉間の皺を更に深め、何故か懐中電灯をあちこちに向け、手鏡と睨めっこしていた。
「さっきから何してるんですか、南雲さん」
「頭が上手く輝くライティングを考えてる」
「は?」
「毎日剃る手間がかかる割に変化が無いから、せめて光り方のバリエーションが欲しいなと」
「目にした人が反応に困るのでやめましょう。わたしも現在進行形で困ってます」
どこまでも、秘策は暇である。
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Title: 今日も南雲は仕事をしない
【蛇足】
・似非ミステリ『時計うさぎの不在証明』シリーズより、八束結と南雲彰。
・光って言われてまず思いついたのが輝くスキンヘッドだった辺り割ともう手遅れかもしれない。
・要するに南雲は今日も仕事をする気がない。それだけのお話。
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