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さあ、物語を始めよう。
 海に流れ着いた、不思議な少年。
 記憶を売る、旅の商人。
 遠い後悔を抱えた、赤い剣士。
 空の色で絵を描く、画家。
 自由気ままに空を泳ぐ、風。
 
 そして風のように旅をする、妖精使い。
 
「折角だから旅の話でも聞かせてくれよ。この雨は、長いぜ」
 
 雨の日、ある男に促され。
 妖精使いは物語る。
 『楽園』を巡る旅の記憶を――


ってのが「レベンタートの妖精使い」(仮)。
妖精使いを主人公にした短編連作みたいなもんです。
そういう意味で前世界観の「妖精画家のパレット」と全く同じ種類。
ただほら、妖精画家はいい人だったけどレベンタートはちょっと悪人だから(←)。
……いや、腹黒さは画家の方が上か(真顔)。

レベンタートは乱暴だけど、それなりに純粋な人。
頭は悪くないんだが、どうしようもなくバカなのかもしれない(笑)。
それか単に考えすぎなだけか。考えすぎなんだな。


「俺にだけ話させるのはいい加減不公平じゃないか?」
 そんな雨の音を聞き流しながら、いくつかの話を終わらせたレベンタートの妖精使いが唇を尖らせる。
 聞き手である男は「そうかしら?」とおどけて大げさに首を傾げてみせた。
「アンタの話も聞かせろよ、例えば」
 妖精使いは洞穴の奥、闇に隠されている「それ」に視線を走らせて言う。
「何でこんなデカブツが地面に埋まってるのか、とかさ」
「そりゃあ俺様にもわからんよ。俺にわかるのはこれが星の船で、きっと遠い昔に誰かが作ったもので……」
 男はふと、雨の降り続ける外に向けた目を細める。
 男の片目は醜く潰れてしまっているが、それでも横顔の醸し出す鋭く冷然とした雰囲気に、妖精使いは自然と背筋を伸ばしてしまう。
「二度と誰にも理解されない孤独な船だ、ってことだけ」
 孤独。
 凍りつくような声で放たれた言葉は、すぐに雨音の中に紛れてしまったけれど。
 妖精使いは、ちらちら揺れるランプの明かりに目を落としてぽつりと呟きを落とす。
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2009/02/06 10:23 | Comments(0) | 創作記録

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