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Twitter300字SS「試す」
今日も俺は試行する。
 飛び方は相棒を通して誰よりも知っている。誰よりも確かに記憶している。
『エアリエル』との同調の感覚、耳に響く風の歌、青い翅翼を広げて陸に別れを告げる瞬間だって。
 けれど、俺が相棒を模倣したところで、俺の魂魄は『エアリエル』とは同調できない。普段相棒と同化して軽々と海を舞っているそいつは、あまりにも重く、あまりにも不自由で、地を這ってるのとほとんど変わらない。
 それでいいのだと相棒は笑う。飛ぶのは俺で、霧を見通すのがお前だと。
 それでいいのだと俺も思う。観測と演算が俺の仕事だと理解もしている。
 理解していながら、俺は試行を重ねる。
 自由に飛ぶ翼に憧れることくらいは、自由だろう?
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Title: オズワルド・フォーサイスの試行
 
 
 時々、相棒は『エアリエル』を飛ばそうと試みる。
 何も『エアリエル』はじゃじゃ馬ってわけじゃない。翅翼艇の中でも、素直さなら随一だ。だから、霧航士なら誰だって「飛ばす」ことはできる。
 でも、それは相棒を除いた話だ。
 相棒は飛べない。翅翼艇を操る才能がない。こればかりは生まれつきの適性の都合。だから相棒の何が悪いわけじゃねーことは、俺もよくわかってる。
 ついでに、相棒が、俺がわかってることを、わかってないはずがない。
 それでも相棒は試行を止めない。誰が無駄だと笑っても『エアリエル』を飛ばそうと試みる。
 俺様はそれを笑わない。笑う理由がないから。
 だって、飛ぶってのは、それだけ気持ちいいことなんだから、さ。
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Title: ゲイル・ウインドワードの所感


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2018/02/03 23:05 | 小説断片
『談話室の飛ばない探偵たち』開始しました
談話室の飛ばない探偵たち』連載開始しました。
毎週金曜日から土曜日あたりに更新予定です。……青波に……元気があれば……。
内容としては、霧世界の霧航士たちがただただくっちゃべるだけの話です。
マジで……それ以外に……説明ができないです……。
でも、地味に「第二世代」霧航士五人の関係性とか、彼らが生きている世界の風景だとかミストノーツへの伏線だとか、詰められるものはぎゅぎゅっと詰め込みましたので、楽しんでいただければ嬉しいです。

2018/02/02 23:47 | 更新記録
『不思議の国の紫苑』に「コンバラリアの行方」編追加。
びっくりしました。
本当に、素で、サイトに載せてあると思ってたんですよ。

載せてなかったんですよ。

というわけで超今更ですが、『不思議の国の紫苑』に「コンバラリアの行方」編全編追加しました。
こちらは2013年に発行し、つい最近完売した同人誌の内容をほぼ全収録(断章「コンバラリアの行方」は未収録)しております。
実は当時の方が面白い話を書いてるんじゃないか? っていう疑問を抱えながらも、未読の方は是非楽しんでいただければ嬉しいです。

あと『XXXの仮想化輪廻』読了されている方は、是非本作の「ルンペルシュティルツヒェン」だけでも読んでみていただければ嬉しいです。ちょっとしたお得感があります。

2018/01/20 17:20 | 更新記録
2018年になっていました。
最近落ち着いてパソコンの前に座っていられる時間が少なすぎて、新年のご挨拶もできていなくて申し訳ないです……。
今年もシアワセモノマニアをよろしくお願いいたします!

今年は長編『空言ミストノーツ』の連載を開始しつつ、水面下で『時計うさぎの不在証明』の4話を書けたらいいかなあと思っております。それで全然別のもの書いてたら「まあ青波だしな……」って思っておいていただけると嬉しいです。
今年ものんびりまったり、自分なりのペースで続けていけたらいいなあと思っております。
今までの面子に加えて霧世界の連中も合わせてよろしくお願いいたします。

2018/01/20 16:23 | 創作記録
読書記録:『デッドライン・アライバル』
『デッドライン・アライバル』
著者:ω さま
サークル:イヌノフグリ
ジャンル:現代異能ファンタジー

一瞬ジャンル欄(これいつも青波が適当に書いてます)に「探偵バラバラ本」って書こうとして何とか踏みとどまりました。
だって探偵バラバラ本って作者様も仰っていますし!
※テキレボのウェブカタログには現代異能ファンタジーって書いてあったでしょ青波

こちらは、探偵……に形から入りまくってる、ちょっと奇天烈なお兄さんレオン=アライバルのお話。冒頭の、事件について滔々と語るシーンの展開にめちゃくちゃ笑いました。これは……依頼人も……キレて仕方がない……。誰だってキレます……。
しかし、このアライバル氏、探偵としては超ダメダメなのにめちゃくちゃ優秀な魔術師なんです。一方で、本人は、魔術の世界とは離れた、普通の(殺人事件を扱うような)探偵でありたいらしいのですが。
そんな「探偵でありたい魔術師」としか言いようがない状態の探偵アライバル氏、当然探偵としてのまともな仕事などあるはずもなく、結局のところ魔術師のお仕事で稼ぐしかないという始末。
しかしこのお仕事がまたはちゃめちゃでして、単なる調査解析(ちょっとだけきな臭いけどアライバル氏的には鼻歌レベルの)お仕事と思いきや、とんだ厄ネタを引き当ててしまって……。

この物語の見どころは、何といってもバトルシーンのかっこよさ! です!!
バトルシーンの泥臭さと血腥さ、それでいてスタイリッシュでお洒落な雰囲気。アライバル氏と相手が交わす言葉の軽妙さ、それでいて死をすぐ首筋辺りに感じさせる緊張感。弛緩と緊張の絶妙なバランスが、本当に絶妙で惚れ惚れします。
本文に(俺はびっくり箱じゃないぞ)と内心で呟くアライバル氏ですが、その戦い方はまさしくびっくり箱のようで、何が出てくるかわからない、というわくわく感に満ち溢れています。
それでいて、明らかに格上の相手を前にしながら思考を止めずに活路を探すアライバル氏の足掻きに対し、それすらも笑って受け止める相手のヤバさ。その対比に、背筋のぞくぞくが止まりません。
とにかく、ハラハラドキドキ、そしてわくわくに満ちたバトルシーンを心行くまで堪能しました。
あと確かに探偵バラバラ本でした。読めばわかる。

そして現代の、神秘が失われたように見える世界の影に蠢く魔術師たちや〈神究会〉の面々について、あくまで断片がちらりと見えただけで、まだまだ気になるところがたくさんあります。
後書きではもっとこの世界やアライバル氏の物語を描いてゆきたい、と書かれていたので、続編を心より楽しみにしております。
本当に、かっこよくて心が躍るお話でした。あとオチの一文めちゃくちゃ好きです。

追伸:
なおご本を手に取った最初の感想は「ペルーラにクリアPP……なるほど、赤く染めるとその煌めき、メタル感が重厚さを増すのか……とても素敵……」であったことをここにお伝えいたします。つい、表紙に使っている紙を確認せずにはいられないのは癖のようなものです。いつか真似したい。

2017/10/29 22:07 | 読書記録

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