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2019/05/25 14:56 |
ホームベーカリーのはなし

 我が家には結構前からホームベーカリーがある。
 我が母が愛用しているホームベーカリーである。
 手作りパンを手軽に作れる素敵な装置であるわけだが、我が家では通称「餅つき機」と呼ばれていた。なぜなら餅しか作らないからだ。時々ジャムは作られてた気はするが、八割餅、二割ジャムといった割合であったと思われる。ゆずジャム美味しい。
 こうなってしまった理由は簡単で、最初に作ったパンが……、何か……、なんだあれは……。とにかく形容しがたい何かと化し、そして母の心が折れたのであった。ちなみにそのパンらしき何かは流石に捨てられたとみられる。気づいたら食卓の上から消えていたからそういうことなのだと思っている。
 さて、そんなわけで長らく(数年というレベルで)それは「餅つき機」であったわけだが、近頃やっと母のトラウマが払拭されたのか、それとも何らかのきっかけで復讐心に火がついたのか、ついに「パンを焼こう……、そう、この子は餅つき機なんかじゃない……本当は……ホームベーカリーなのだから……」と言い出した。
 かくして餅つき機もといホームベーカリーはついにホームベーカリーとしてのアイデンティティを取り戻したのであった。
 前回の反省点を踏まえ、我が母はきちんとパンの作り方を調べた。前回調べてなかったのかよ、というツッコミは我が母が我が母であるが故と言えた。あの人は感覚で料理を作る人であり、つまり材料さえわかっていれば目分量で料理が作れてしまう人なのだ。料理が下手なのではない。むしろ世間一般的な尺度で言えば「料理が上手い人」なのだ。
 だが、パンはそうはいかない。あれは細かな分量計算、比率、諸々があって初めて成立するものであると母も学んだらしい。まあ、実際は知ってたんだろうが「何とかなる」と思ってはしょったんだろう。あの人はそういう人だ。そして何とかならなかったのだ。
 かくして、心機一転した母によるパン第一号が出来上がった。数年前のアレはパンと呼んではいけない気がするので今回が第一号ということにしておく。
 恐る恐るちぎって口に運んでみたところ、……確かに、パンであった。母曰く「まだ改善の余地はある」そうだが、パンであった。数年前のアレが何だったのか、というくらい、れっきとしたパンであった。
 やはりホームベーカリーはホームベーカリーであったと再認識した瞬間だった。
 
 なお、今日のホームベーカリーは餅をついている。いつものことであった。
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2018/12/09 14:12 | 日々徒然

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