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読書記録:『ウィスタリア(上)』
『ウィスタリア(上)』
著者:藍間真珠 さま
サークル:藍色のモノローグ
ジャンル:シリアスSFファンタジー

本当は完結してから書いたほうがいいのかなと思ったのですが、
(実際先行しているサイト掲載分は、そろそろ完結みたいですし……)
とりあえず「読んだその時に書く」をモットーに、今の時点で一旦記録しとこうと思います。
ちなみにサイト掲載分は未読です。多分これは本で一気に読んだ方がよさそうなので……。

住んでいる場所は離れているのに、何故か一ヶ月に一回くらいリアルにお会いしたりすることもある、藍間真珠さんの長編です。
いやまあ、藍間さんにとっては長編のうちに入らないのかもしれませんが(をい)。
藍間さんの、執筆を始めてから終わらせるまでのペース配分は是非見習いたいところです。

謎めいた小国ニーミナの中心部、「教会」と呼ばれる場所に潜入した青年ゼイツと、彼が出会った不思議な女性ウルナを中心に、『禁忌の力』やニーミナで信仰される「ウィスタリア教」の謎を織り交ぜて送る、SFファンタジーです。
上記だけだとファンタジーっぽく見えますが、拳銃が古代の遺物だったり、明らかな近代・現代兵器が「遺物」として登場したりと、どう考えてもポストアポカリプスものの様相を呈しております。
そしてそれらは、世界の住人にとってはそれなりには「一般常識」のようです。あまりにもそれらの情報がさらっと出てきてびっくりしました。(それは自分がいつも「過去が極端に隠蔽された」話を書いてるからだろ)
とはいえ、当然ながら謎めいた部分も多く、それらの「謎」に引き込まれるようにして、何も知らされないままにほとんど「別世界」である教会に放り込まれたゼイツと共に、ニーミナの奥に潜むものに迫ることになります。

とにかく世界観にきゅんと来ますね。数度の「下らない」戦争を経て、滅びに向かっていく世界。
当時の武器が過去の遺物となり、今に生きる人々はそれを研究しつつ、なおも武器として利用して。
そしてところどころに登場する「宇宙船」の影に興奮が隠せません。
本当に自分はこういう「一度滅びてなお滅び行く世界」大好きだなあ、と思いますが好きなんだから仕方ありません。
そしてそれらの情報が、さらりと、当たり前のように与えられるのがまた洒落ていると思うのです! ですよ!
冒頭から銃を「遺物」と言いきったところでドキッとするあたり、本当に好きなんだなあと。

物語はこの本の上では中盤のため、まだ全容が見えてはいないのですが。
「教会」のゆったりとした、しかし何とはなしに不穏なものをはらんだ空気感がとてもよいです。
時々登場する「紫の花」――タイトルにもあるウィスタリアの鮮やかさと香気が、謎めいた雰囲気を彩っています。
そんな、閉ざされた世界の中で、秘密を握るヒロイン、ウルナの危うい存在感が際立ちます。
ああいう「危うさ」はとてもよいものです。助けを求めるでもなく、己のなすべきことに囚われた、あのたたずまい……。胸がきゅんとします。これはゼイツでなくとも意識せずにはいられません。
それと、『姫様』ことルネテーラも、ものすごい存在感ですね……。上巻では登場する回数自体はそこまで多くない気がしているのですが、その無邪気さ、純真さと、彼女自身が抱えている(と思われる)もので、この世界の光と影をくっきりと見せ付けているような。
そんな一筋縄ではいかない人々を前に、ゼイツがどう未来を見出していくのか。
今から続きが楽しみで仕方ないです。

おそらく、続きは今年中には刊行される予定……でした、よね?
わくわくしながら続きを待ちたいと思います。
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2013/05/01 22:02 | 読書記録

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