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歌とやつぐも
……南雲ってほとんどの場合において女声曲の方が似合うよね……?
(って色々と曲を聞きながら真面目に思った)
あの人仮に歌うとしても、「カラオケでかろうじて歌える」程度の歌唱力しかないけどね。
実は八束の方が歌は上手い、というか実は南雲が八束に敵う能力はコミュ力以外に一つもないので。
手芸やお菓子作りだって、八束がやる気になったら、あっさりマスターされてしまうんだろうなーと内心思ってる。本人に直接的には言わないけど。時々漏れてるけど。
八束が興味を持てば一から至極丁寧に教えてあげちゃうんだろうけれどね。それが南雲。

「……八束が流行りの歌を歌ってるとは珍しい」
 机に突っ伏していた南雲が、いつの間にか顔をあげて、ずれた眼鏡越しにこちらを見ていた。完全に眠っていると思っていただけに、恥ずかしさに頬が熱くなる。
「すみません! うるさかったですよね?」
「ううん、全然。こちらこそ、気持ちよく歌ってるとこ邪魔しちゃって悪いね」
 こんな時ばかりは、南雲が表情を欠いていることに、不謹慎ながらも感謝したくなる。内心で何を考えているかはわからないにせよ、笑われたり不快そうな顔をされないだけでも、幾分気が楽になる。
 大きく欠伸をした後、頬杖をついた南雲は寝起きらしくぼんやりとした声で問うてくる。
「その歌、好きなの?」
「よく流れているので、頭に残っていたのです。旋律は好きです」
 実のところ、愛やら恋やらを歌う歌詞にはあまり共感できなかったのだが。それでも、透明感のある声と、爽やかなメロディラインは好みだった。
 それを聞いた南雲はほんの少しだけ、隈の浮いた目を細める。
「俺も好きだよ。いい歌だよね」
「南雲さんは、流行の歌とか詳しそうですね」
「まあ、聞くだけだけどね。八束は歌上手だよね。声もきれいだし」
「そ、そうですか?」
 そんな風に評価されたのは初めてで、余計に頬が火照って仕方ない。けれど、恥ずかしいばかりではなく、温かな言葉は嬉しくて。
「ありがとう、ございます」
 自然と、笑みがこぼれる。
 南雲は相変わらずにこりともせず、ただ小さく頷くだけで、視線を外して机の脇に置いてある裁縫箱に手を伸ばす。伸ばしながら、ぽつりと言った。
「で、続きは?」
「歌いませんよ!」

特に意味はない。
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2015/05/06 21:45 | 創作記録

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