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あーあ。あーあ。
うあー、つい発掘しちまった。
ので、一応ここに埋葬しておこう。
また恥ずかしくなったら下げる。下げるよ。

レアすぎる、大昔に書いた青波のTOS二次小説。
前のサイトに載せてたやつです。
言い訳は末尾に付記しときます。
 雪が降る。
 深々と、音も無く。
 全てを白く、包み込むように。
 
 
 真っ白な息を吐き、雪の上で立ち止まる。灯された明かりが頼りなく、足元に長い影を伸ばす。
 黙って宿を出てきてしまったが、緊張感と危機感が欠如しているあの連中のことである。どうせ誰も気づかないだろう。
 そう、どうせ誰も気づかない。
 思って彼は嘆息する。
 雪は、嫌いだ。
 それを嫌いと一言で表現していいものなのかはわからなかったが、雪を見ると、どうしても脳裏に焼きついているあの日の光景が思い出されてしまう。
 なのに、何故だろう。
 自分は、今この雪の中に一人で佇んでいる。こんな真夜中に外を歩く物好きなど彼の他にはいない。頼りない光の中ちらちらと舞う雪を浴びて、一人。
 全てを凍えさせる冷たい風は、思考をも凍らせているのだろうか。凍りついたあの日の記憶は、今もなお、彼の中に冷たい塊として残っているのだから。
 だから余計にわからない。
 何故、自分は今ここにいるのか。
 彼は雪が落ちてくる空を見上げる。空はどこまでも闇に包まれていた。
「……情けねえ、な」
 呟く声も、闇に吸い込まれるよう。
 迷うなんて自分らしくもない。いつもどおり、作りなれた笑みを張り付かせて、やるべきことをやるだけだ。この、息苦しさから逃れるために。
 だが、同時に何となく気づいてもいた。
 ここから逃れようとすればするほど、自分の首を何かが強く締め付けるような錯覚に陥っていることに。
 馬鹿馬鹿しい。
 彼はいつもの表情を作って、軽く声を漏らして笑った。どうせ誰も聞いていないのだから、と、やがて声をあげて笑っていた。その声は、やはり乾いた作りものだったけれど。
 そういえばいつから笑っていなかっただろう。本当に、心から笑ったことが何度あったというのだろう。
 何もかもが、つまらない。息苦しくて、どうしようもない。
 そう考えながら彼は笑いを収めた……その時だった。
 赤い雪が、降った。
「……え?」
 花びらのように、足元の白を染める、赤。
 ぐらり、と視界が揺れるが、一体今の瞬間に何が起こったのかはわからなかった。
 自分の腹から生えるように突き出た、血染めの刃を見るまでは。
 ごぼり、と。
 喉にこみ上げる嫌な味の液体を吐き出して、彼は膝をつく。音も立てずに、背後の何者かは彼の腹から剣を抜いた。
 ……俺は、死ぬのか?こんなにあっけなく?
 痛みは無かったが、頭が段々と朦朧としてきて、目の前が白く霞んでいく。位置からすれば致命傷とは思えない。だが、傷口からぼたぼたと落ちる赤い液体は、間違いなく彼の死を暗示していた。
 何故。
 自問する。何故、自分は今こんな場所で殺されなければならないのか、と。こんな、雪の中。頭が痛くなるような、この場所で。
 完全に意識を手放す前に、ゆっくりと後ろを向く。自分を刺した相手を、せめて最期の瞬間に見ておきたかった。
 だが……。
 彼は、背後のそれを視界に収める前にふと思う。
 見なくても、それが誰なのかはわかっている。何故、自分が殺されるのかも、わかっている。
「信じてたのに」
 頭の上から降る声も、遠く。のろのろと上げた彼の目は、やっとそれを捉えることが出来た。
 赤く染まった剣を下げ、暗い双眸でこちらを見やる、見慣れた間抜け面。悔しいのか怒っているのかそれとも悲しいのか。奇妙に歪んだその表情は、むしろ笑いを誘うようですらある。
 馬鹿な奴、と。
 消え行く意識で彼は思う。
 何もわかっていないくせに、よくそんなことが言えたものだ。お前のように無駄な足掻きを繰り返すなんて、格好悪いにも程がある。いや、もはや不快以外の何者でもない。
 なのに、何故だろう。
「……信じてた、か」
 何故、だろう。
「俺も……信じられればな」
 何故……この男のようになれればよかったと、思ってしまったのだろう。
 目を閉じ、赤く染まった雪に倒れこむ。それでも真っ白な雪は何事もなかったように降り続ける。だから、最後に彼は思う。
 いつまでも降り続ければいい。
 この、どうしようもない俺の姿も、赤く染まった場所も埋め尽くしてしまうくらいに……
 
 
「……ゼロス?こんな遅くに何してんのさ」
 声は、意識を否応無く覚醒させる。
 彼ははっとして声が聞こえた方を見た。そこに立っていたのは、防寒具に身を包んだ見慣れた姿。
「な、何だ、しいなか」
 言って、彼は自分が先ほどと変わらずに雪の上に立っていることに驚いた。果たして今見た光景は夢だったのか、それとも。
 しいなは珍しくうろたえる彼を不思議そうに見つめた後、言った。
「どうかしたのかい?」
「いやあ、こんないい夜だし、夜の散歩としゃれ込もうかと思っただけさあ。何?しいなったら俺様のことが心配だったの?」
「ばっ……そんなことないよ!ただ、眠れないと思ってたらロイドがアンタを探してたから、ついでに探しに来ただけだよっ!」
「ロイドが?」
 皆に気づかれないように出てきたつもりだったのだが、どうやらとっくに気づかれていたらしい。しいなの延々とした言い訳を聞き流しながら、彼は軽く、目を細める。
『信じてたのに』
 思い出すのは刹那の夢。雪の中に沈む自分と、そう呟く馬鹿野郎。
 いつの間にか肩に積もっていた雪を払い、独り言じみて呟く。
「……お前ら、馬鹿だなあ」
「何だって!?」
 彼に唐突に言われて、しいなはきっと彼を睨みつける。「そんなにいきり立つなって」と冗談交じりに言いながら、彼はいつもの笑顔を作る。それはいつもより微かに不自然に歪んでいたが。
「ま、いいや。お迎えも来たことだし、しゃーないから俺様も宿に帰りましょうかねえ」
「全く、緊張感の無い奴だね、アンタも」
「お前らほどじゃねえって」
 ぼそりと本音を呟くが、それはしいなには届いていなかったらしい。前に立って歩き出す彼女を見つめながら、彼は再び思案する。
 あの馬鹿野郎や目の前の彼女に背を向けて歩き出さなくてはならないのは、もう少し先のこと。まだ少しだけ、時間がある。
 その間に、道を選べというのか。選べなければ、自分はあの夢のように。
 そこまで考えて、彼は思わず笑った。
「……俺も、馬鹿だな」
「何だって?」
「何でもないさー」
 結末は決まりきったものだ。道なんて、無い。「道を選ぶ」など、何を血迷ったのだろう。
 自分は、「自分のため」に生きるのだ。泥臭い理想論は無意味だ。自分にあるべきものはただ一つ。残された道は、一つしかないはずなのだ。
 自分にそう言い聞かせて、彼は一歩を踏み出す。
 それは、破滅への一歩か、それとも。
 
 
 雪が降る。
 深々と、音も無く。
 全てを白く、包み込むように。
 
 
 雪を主題にした諧謔的変奏曲 第一楽章


==============
 
 
はい、すみませんでしたー!!!!(平伏)
やっぱりダメだすごく二次はダメだ自分耐えられない!!

とりあえずゼロスがもろにブランと同じ描き方なのは本当にどうにかしたい(笑)。
というか五年前の文章なのに結局さして描き方が変わってないというのは何事。
ただ、昔の方が短文連続が多かったんだなあというのは実感しました。
あとゼロスの一人称地味に間違ってる気がするんだが……

まあ、何ってとりあえずシンフォニアやりたいなあという話。
ゼロしいは俺のジャスティスなんだってば。どこまでも。どこまでも。
ただ、一からやるとしいなはともかくゼロスとの合流が中盤からだからなー。
あとしいなは、戦闘ではごにょごにょ。
愛で乗り切ろうかなあ、セカンドプレイの強みを利用して。
(でもセカンドプレイのデータ消しちゃったんじゃなかったか、もしかして)
(……)

空色に、戻ります……(とぼとぼ)
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2010/04/11 19:54 | Comments(0) | 小説断片

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