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『空色少年物語』番外編「願い、交錯して」
すみません、募集してから一ヶ月とか経過しようとしてる……!!(汗)
『空色少年物語』ショートストーリーのテーマを募集していましたが、
やっとこさ一作目が書き終わったので公開いたします!

第一作目はむし子さんからのリクエスト。
「ディス君が空気読めないオッサンに気持ち威嚇する猫みたいにシャーってなってる話」です。
 
 ――果たして、『ディスコード』は苛立っていた。
「どうして、そんなざわついてんのよ、『ディスコード』?」
 その柄を握るのは、いつもの空色の少年ではなく、ひょろりとした痩躯の男。いつもの少年の視点を通して見ている限り、見た目は二十歳を少し超えた程度。特徴らしい特徴の無い青白い顔の中で、三白眼だけが存在を強く主張している、そんな男。
 そんな男の感覚を通して、ディスは外界を認識している。
 酷く、色あせた外界を。
『……別に』
「別に、で済むようなざわつき方じゃねえと思うけどな」
『どうせ、お前にはわからねえよ』
「そうだな、俺様にゃわからねえ」
 男は嗄れた声で答えて、くつくつと喉で笑う。何がそんなにおかしいのだろう、おかしいことなど、何一つないというのに。
 おかしいと、思ってもいないはずだというのに。
「絶対にわからねえし、わかる必要もねえもんよ。俺様の目的を果たすために必要なこと以外は、何もかも、何もかも」
『あいつらの、ことも?』
 あいつら、というのが誰を示しているのかは、男にも伝わったのだろう。ちらりと、部屋の扉に視線を向ける。この扉の向こうには、兄を追う空色の少年と、白い少女。それに、少年たちが捜す人物を殺そうとしている影追いの女がいたはずだ。
 そして、この男の目的は――。
 それを知っているディスは、内心で唇を噛む。
 けれど、この男は、表情一つ変えずに、こう言い放つのだ。
「わからなくていい。わからないまま、全てを終わらせられるなら、それで」
『手前……』
「だから、今からでも遅くねえ。『ディスコード』」
 淡々と、淡々と。
 男は、告げる。
「俺と一緒に来いよ」
 ただでさえ波立っていた精神の水面を、何かが駆け抜けていく。寒気。この機巧の体は、それを感じる器官など持ってはいないというのに。
 ディスは、震えて萎みそうになる意識を精一杯に奮い立たせ、叫ぶ。
『ありえねえ! 最初に言ったはずだ、ブラン・リーワード! 俺は――』
「何よりも、幸せを、願う」
 ぽつり、落とされた言葉。
「俺様とお前さん、同じものを求めてるのに、どうして、こうなっちまうんだろうな」
 感情の込められていない、言葉。
 ディスは、全身の毛が逆立つような――もちろん、それすらも彼自身の空想に過ぎないが――苛立ちと、怒りと、そして、奥底に流れる暗く冷たい感情を覚えながら、搾り出すように言った。
『手前は、何もわかっちゃいねえんだよ……』
「そうだな、俺様は、何もわかってない。わかる必要も、ない」
 そのやりとりは、何処までも平行線のまま。
 
 ――果たして、『ディスコード』は苛立っていた。
 願っていることは、同じだから。だからこそ。
 
 
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何か全然空気読めない、って感じにならなくてすみません……!
一応、09が終わった後、ワイズにて。セイルたちが知らないやり取りです。
……というか、もうちょいコメディっぽくしたかったのに、シリアスにしかならないよこの二人……(涙)
でも、この二人のぎすぎすっぷりは書いてて楽しかったです!
むし子さん、リクエスト本当にありがとうございましたー!!
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2012/07/01 23:12 | 小説断片

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